第6章 一般知識 入門〜基本 足切り注意

政治・経済・社会

足切りに注意の一般知識。まず政治・経済・社会の基礎。

📖 このページでわかること

  1. 一般知識には「足切り(基準点)」があり、捨てられないこと
  2. 政治(選挙制度・国会と内閣・地方政治・国際連合などの国際機関)
  3. 経済(財政と税・日銀と金融政策・経済指標・為替)
  4. 社会(社会保障の柱・労働・人口/環境問題)
一般知識は範囲がとても広く、つい後回しにしがちです。でも、ここには「足切り」という落とし穴があります。まずはその大切さを知り、政治・経済・社会の土台を広く浅くつかんでいきましょう。あせらず一歩ずつでだいじょうぶです。

1. まず注意 ── 一般知識には「足切り」がある

行政書士試験では、全体の合計点が高くても、一般知識(一般知識等)の分野だけで一定の点数(基準点)を取れないと、その時点で不合格になってしまいます。これを通称「足切り」といいます。

注意:法令科目がどんなに得意でも油断は禁物

「一般知識は苦手だから、法令でカバーすればいい」——この作戦は通用しません。一般知識で基準点に届かなければ、ほかが満点でも不合格です。だからこそ一般知識は捨てられない分野なのです。

戦略:得点しやすい分野から固める

一般知識の中でも、個人情報保護・情報通信文章理解は対策しやすい分野です。範囲の広い政治・経済・社会は「広く浅く」を意識し、深入りしすぎないのがコツです。ニュースで聞く言葉と結びつけて覚えると定着します。

2. 政治のキホン

① 選挙制度と選挙の原則

選挙のやり方には、大きく2つの考え方があります。

制度選び方特徴
小選挙区制1つの選挙区から1人を選ぶ大きな政党に有利。死票(落選者への票)が多くなりやすい
比例代表制政党の得票数に応じて議席を配分少数意見が反映されやすい。小政党も議席を得やすい
たとえ話:クラスの代表決め

「いちばん票を集めた1人だけが代表」なら小選挙区制のイメージ。「票の割合どおりに席を分ける」なら比例代表制のイメージです。日本の衆議院では、この両方を組み合わせた小選挙区比例代表並立制がとられています。

また、近代選挙には次の4つの原則があります。あわせて押さえておきましょう。

原則意味
普通選挙一定年齢に達すれば、財産などに関係なく投票できる
平等選挙一人一票で、票の価値は平等
秘密選挙誰に投票したかを他人に知られない(無記名投票)
直接選挙有権者が直接、代表者を選ぶ

② 国会と内閣(議院内閣制)

日本は、内閣が国会の信任にもとづいて成り立ち、国会に対して責任を負う「議院内閣制」をとっています。国会は国の唯一の立法機関で、衆議院と参議院の二院制です。

具体例:衆議院の「優越」

予算の議決や内閣総理大臣の指名などで、衆議院と参議院の意思が食いちがったとき、一定の条件のもとで衆議院の議決が優先されます。これを衆議院の優越といいます。また、衆議院は内閣に対して内閣不信任決議を出すことができます。

③ 地方政治

都道府県や市町村などの地方公共団体では、住民が首長(知事・市町村長)地方議会の議員を、それぞれ別に直接選びます。国の議院内閣制とちがい、これは二元代表制と呼ばれます。

住民の直接請求

住民は、条例の制定・改廃の請求や、議会の解散・首長等の解職(リコール)の請求など、一定数の署名を集めて行う直接請求の権利を持っています。住民が政治に直接かかわれるしくみがあるのが地方の特徴です。

④ 国際連合などの国際機関

世界の平和と協力のための代表的な組織が国際連合(国連)です。なかでも、平和と安全に重い責任を持つのが安全保障理事会(安保理)です。安保理の常任理事国には拒否権が認められています。

具体例:身近な国連の関係機関

子どもの支援を行うUNICEF(ユニセフ)、教育・科学・文化を担うUNESCO(ユネスコ)、健康・保健を扱うWHO(世界保健機関)など、ニュースで聞く名前も国連と関わりの深い機関です。経済分野では、自由貿易のルールを扱うWTO(世界貿易機関)も押さえておきましょう。

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3. 経済のキホン

① 財政と税

財政とは、国や地方がお金を集めて(歳入)、使う(歳出)活動のこと。1年間の収入と支出の計画が予算で、国会の議決を経て決まります。財政の中心になるのが税金です。税にはいろいろな分け方があります。

分け方種類イメージ
負担の仕方直接税税を納める人が自分で負担(所得税・法人税など)
負担の仕方間接税負担する人と納める人がちがう(消費税・酒税など)
集める主体国税/地方税国が集めるか、都道府県・市町村が集めるか
たとえ話:消費税は「お店が代わりに納める」

買い物で払う消費税は、私たち消費者が負担していますが、実際に税務署へ納めるのはお店です。「負担する人」と「納める人」がちがう——これが間接税のしくみです。

注意:累進課税

所得税には、所得が多い人ほど高い税率がかかる累進課税のしくみがあります。一方、消費税のように所得に関係なく同じ率がかかる税は、低所得者ほど負担感が重くなる(逆進性)と言われます。「所得税=累進」「消費税=一律」と対比して覚えましょう。

② 日本銀行と金融政策

お金の貸し借りやお金の流れを扱うのが金融です。その中心にあるのが、日本の中央銀行である日本銀行(日銀)です。日銀には大きく3つの役割があります。

日銀は、景気や物価を安定させるために金融政策を行います。代表的な手段が、国債などを売り買いして世の中のお金の量を調整する公開市場操作(オペレーション)です。

景気の状態日銀の動きねらい
不景気のとき金利を下げ、お金を市場に出す(金融緩和)お金を借りやすくし、消費・投資を後押し
景気が過熱のとき金利を上げ、お金を吸い上げる(金融引き締め)過度な物価上昇(インフレ)をおさえる
具体例:金利と暮らし

金利が下がると、住宅ローンなどが借りやすくなり、世の中にお金が回りやすくなります。こうした金融の調整は、ニュースでもよく取り上げられるテーマです。

③ 経済指標と為替

経済の状態を測るものさしが経済指標です。代表的なものを押さえましょう。

指標意味(イメージ)
GDP(国内総生産)国内で一定期間に生み出された付加価値の合計。経済規模のものさし
インフレ/デフレ物価が継続して上がるのがインフレ、下がるのがデフレ
失業率働く意思のある人のうち、職に就けていない人の割合
たとえ話:円高・円安は「円の値段」

為替は、円と外国通貨を交換する比率のこと。1ドル=100円が1ドル=90円になると、少ない円でドルが買える=円の価値が上がった「円高」。逆に110円になると「円安」です。円高は輸入に有利、円安は輸出に有利、と整理しておきましょう。

4. 社会のキホン

① 社会保障の4つの柱

社会保障とは、病気・けが・高齢・失業などで生活が苦しくなったとき、社会全体で支え合うしくみです。日本の社会保障は、大きく4つの柱で成り立っています。

中身(イメージ)
社会保険みんなで保険料を出し合い、病気・高齢・失業・介護などに備える(医療保険・年金・雇用保険・介護保険など)
公的扶助生活に困った人を最低限の生活が送れるよう支える(生活保護など)
社会福祉高齢者・障害者・子どもなど、支援が必要な人を助ける
公衆衛生感染症対策や環境衛生など、社会全体の健康を守る

このうち社会保険は、とくに重要です。年金・医療・介護を柱に、現役世代の保険料などで支える「支え合い」のしくみになっています。

たとえ話:みんなで支える傘

社会保障は、いざというときに開く「みんなで持ち合う大きな傘」のようなもの。元気なときに少しずつ負担し合い、雨(病気・失業など)に降られた人を、その傘でみんなで守るイメージです。

② 労働

働く人を守る基本ルールとして、労働三法(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)があります。労働基準法は、労働時間・休日・賃金など働き方の最低基準を定めるものです。

労働三権

憲法は、働く人に団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)の労働三権を保障しています。労働者が団結して使用者と交渉できるしくみを、法律が支えています。

③ 人口と環境問題

日本では、子どもが減り高齢者が増える少子高齢化が進み、社会保障の支え手が減る点が課題となっています。あわせて、地球規模の環境問題もよく出題されます。

具体例:地球温暖化と国際的な取り組み

温室効果ガスの削減をめぐっては、各国が協力して取り組む国際的な枠組みが結ばれてきました。「持続可能な社会」「循環型社会」といったキーワードとともに、環境分野はニュースと結びつけて押さえておきましょう。

演習過去問チャレンジ(○×)

Q1.行政書士試験では、法令科目の得点が高くても、一般知識の分野で基準点に達しなければ不合格となることがある。

正解は 。一般知識には基準点(足切り)があり、ここに届かないと総合点が高くても不合格です。だから捨てられません。

Q2.消費税は、税を負担する人と税を納める人が同じである直接税の代表例である。

正解は ×。消費税は間接税です。負担する人(消費者)と納める人(お店)がちがいます。直接税は所得税・法人税などです。

Q3.比例代表制は、政党の得票数に応じて議席を配分するため、小選挙区制に比べて少数意見が反映されやすい。

正解は 比例代表制は得票割合で議席を配分するため、少数意見も反映されやすい制度です。小選挙区制は大政党に有利になりやすい特徴があります。

Q4.日本の地方公共団体では、住民が地方議会の議員を選び、その議会が首長を選ぶしくみがとられている。

正解は ×。地方では、住民が首長と議員をそれぞれ直接選びます(二元代表制)。議会が首長を選ぶのではありません。

Q5.不景気のとき、日銀が金利を下げてお金を借りやすくする政策は、金融緩和と呼ばれる。

正解は 。不景気には金融緩和で消費・投資を後押しし、過熱時は金融引き締めでインフレをおさえます。

Q6.1ドル=100円が1ドル=120円になることを、一般に「円高」という。

正解は ×。1ドルに多くの円が必要になる=円の価値が下がった状態なので、これは円安です。円高は1ドル=90円のような場合です。

Q7.日本の社会保障の4つの柱は、社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生である。

正解は 。この4本柱はそのまま覚えておきましょう。中心となるのは年金・医療・介護などの社会保険です。

暗記一問一答
一般知識の「足切り」とは?
A. 一般知識の分野で基準点に届かないと、総合点が高くても不合格になるしくみ。
小選挙区制と比例代表制のちがいは?
A. 小選挙区制=1区から1人を選ぶ/比例代表制=得票数に応じて議席を配分する。
選挙の4原則は?
A. 普通・平等・秘密・直接選挙。
地方の「二元代表制」とは?
A. 住民が首長と議員を別々に直接選ぶしくみ。
直接税と間接税のちがいは?
A. 直接税=負担する人が自分で納める(所得税など)/間接税=負担する人と納める人がちがう(消費税など)。
日本銀行の3つの役割は?
A. 発券銀行銀行の銀行政府の銀行
不景気のときの金融政策は?
A. 金融緩和(金利を下げ、お金を市場に出す)。
円高・円安の見分け方は?
A. 1ドルに必要な円が少ない=円高多い=円安
社会保障の4つの柱は?
A. 社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生
労働三権とは?
A. 団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)

📌 このページのまとめ

  • 一般知識には基準点(足切り)があり、法令が得意でも捨てられない
  • 政治:選挙制度は小選挙区制(1区1人)と比例代表制(得票に応じて配分)、原則は普通・平等・秘密・直接
  • 政治:国は議院内閣制・衆議院の優越、地方は二元代表制と直接請求
  • 経済:税は直接税/間接税、金融の中心は日本銀行(不景気=緩和)、為替は円高/円安
  • 社会:社会保障の4本柱は社会保険・公的扶助・社会福祉・公衆衛生、労働三権・少子高齢化も頻出